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代表戦 アジアカップ2019 名将のマッチレポート

【アジアカップ】「日本―サウジアラビア」戦 名将のマッチレビューと個人採点

更新日:

Etereuti / Pixabay

マー君の大記録を視野に入れる

ボンジョールノ、諸君。

まずは以下の記録を見てもらいたい。

■親善試合 日本4―0キルギス 予想:日本の「2-0」「3-0」「4-0」「5-0」「3-1」「4-1」「5-1」=

■CWC レアル3―1鹿島 予想:レアルの「1-0」「2-1」「2-0」「3-1」「3-2」「0-1」「1-2」=

■アジア杯 日本3―2トルクメニスタン 予想:日本の「3―0」「4―0」「5―0」「4―1」「5―1」「1―0」「2―0」「3―1」「4―1」=△(勝敗○、スコア×)

■アジア杯 日本1―0オマーン 予想:日本の「1―0」「2―0 」「2―1 」「3―0」「3―1 」「3―2 」「4―1」=

■アジア杯 日本2―1ウズベキスタン 予想:日本の「0ー0」「1ー0」「2ー0」「2ー1」「2ー2」「0ー1」「1ー2」「0ー2」=

これは私がこのレポートを始めてから行ったプロファイリングとその試合結果の照合を一覧にしたものだ。4勝1分け。アンディフィーテッド、つまり負けなしだ。スコア予想はおろか勝敗予想すら口をつぐむエセ評論家には決して行えない芸当だと言えるだろう。そして昨日、この金字塔に新たな仲間が加わった。

■アジア杯 日本1―0サウジアラビア予想:日本の「1―0」「2―0」「2―1」「3―1」「3—2」「延長勝ち」「PK勝ち」

誰か私を止めてくれないか。このままだと私は全盛期のマー君(田中将大。24勝0敗1Sを超えてしまいかねないが、楽天ファンの諸君は許してくれるだろうか? おっと、悪い癖だ。また自分の世界に入り込んでしまった。すまない。では気を取り直して昨日の試合をプロファイリング・オブ・レビューしていこう。

セルジオ越後に異を唱える

日本23.7%、サウジアラビア76.3%このボール支配率が示すように終始日本が守勢に回る展開となった。だからといってサウジがゲームを支配していたかと言えば、そうとは言い切れないところがこの試合の妙味だろう。この試合に関して友人のセルヒオ・オブ・越後(セルジ越後)が以下のようなことを言っている。

ライン設定は意識的にやったというよりも、サウジアラビアに押されて押されて下がってしまったように見えた。シュートブロックがこんなに多い試合は久しぶり。

しかし私の見解は逆で、無理をしてまでラインを上げなかったと見るのが正解だろう。サウジの前線には高さがなく、怖いのはスピードで裏へ抜ける動きだ。決して俊足とは言えない吉田と富安からすればラインを上げるよりも、高さでは勝っている分、裏のスペースを埋めてしっかりブロックを形成する方がノーリスクだった。そしてそれは奏功した。

日本の術中に嵌ったサウジ

振り返ってみればわかるが、試合を通して防戦一方だったにも拘わらず日本が肝を冷やしたシーンは一度もなかったはずだサイドからの揺さぶりでもペナルティーエリア近辺を深くえぐられたのはほんの1、2度で、上げられたクロスもほとんどがマークつきで質も悪く、日本の守備陣としては対応が容易だった。ならばとサウジは再び正面からと向かってくるもダブル・オブ・ピボーテの遠藤や柴崎、それに長友も素早く中に絞ってスペースを消し、そのシュートブロックの多さはサウジが日本の術中に嵌った証左とも言えるだろう。

ただ攻撃に関しては苦言を呈さざるを得ない。決勝点こそカタール戦でも見られたサウジのセットプレーでのボールウォッチャーぶりをうまく突いたが、プレッシングに対する足元や強度が足りず、やみくもに縦に蹴ってはボールを失うこと頻りだった。稀に訪れたカウンターチャンスもドリブル、パス、連携全てが質を伴っておらず、タメを作れる選手もいなかった。日本の攻撃陣はやはり大迫抜きでは深みや幅が極度に収縮してしまうようだ。

満を持しての中東の笛

それにしても中東の笛とはよく言ったものだ。日本がボールを奪う度に笛が吹かれては支配率が上がるはずもない。勝手に転んでもファウル、ラインを割ってもいないのにラインアウト、明らかなCKがゴールキック、etc.……。サウジのホームならまだ百歩譲って理解できるのだが、ここはUAEだろ? 何なんだこのオイルまみれの連中の結束は。しかも試合を裁いたのがアジアでは最も優秀な審判の一人だと言うからさらに泣けてくる。この茶番ぶりは『キャプテン翼』の「フランス国際Jr.ユース大会」編のフランス戦を思い起こさせる。きっと中年になった次藤君も憤慨していることだろう。

アジアでは抜けている富安のクオリティー

それではマニアな個人採点を発表しよう。

【個人採点】(10点満点)

<GK>

権田修一 6 後半早々の前線への好フィードは覚醒を予感させたが、まともなフィードは結局これ1本。63分のシュートは動かず見切っていたのかと思いきや、リプレイを見ればただ動けなかっただけ。まだサバンナ高橋が憑依しているようだ

<DF>

長友佑都 7 やや中に入り過ぎていたために空いた左サイドを再三突かれたが、危ない場面は作らせず。ただ前半に見せたルーズボールへの空振りはW杯コロンビア戦の失点に繋がったクリアミスを想起させたが、彼にとってワロスとワクリアはもはや愛嬌か

酒井宏樹 6 前半にややサイドを破られるも守備は及第点。ただボール保持時の視野が狭く、繋ぎたい場面でもクリアを選択し、アーリークロスならぬアーリークリアの名手となっていた

吉田麻也 7 後半にサイドの危険な位置でボールを奪われるという場面はあったもののそれ以外は盤石。顔面ブロック後の倒れ方は様式美すら感じさせた

冨安健洋   8.5  CKから羨ましい限りの毛量ヘッドで決勝点を挙げる。守備でもロングボールや対人、危機を予防するIQなど20歳とは思えぬクオリティーを発揮。槙野に爪の垢を煎じて飲ませたい程、アジアの若手CBでは頭一つ抜けている。マン・オブ・ザ・オブ・マッチ

<MF>

柴崎 岳 7 前線がボールを収められず形にはならなかったが、攻撃では唯一意図を感じさせるボールを供給。守備でも奮闘し、ガクガクさんからワクワクさんへの変貌の兆しが見えた

原口元気 7 相変わらずの運動量と守備でチームを牽引。決勝点に繋がるCKも得た。乾も同様にボールをよく追うが、相手の攻撃を切れないところが原口との差になっている

遠藤   航 8 後半の危険なカウンターでは相手からPA手前でボールを強奪。ピボーテとしての守備は文句なく、ボールを持った時でも相手のプレスをテクニックで剥がし、ボールをうまく運んでいた。CKの際に水を飲もうとしているのにそこにまで相手マーカーがストーカーしてきたのには笑った

堂安 律 5 前半のクロスのこぼれ球へのボレーはミートしたかった。その後は守備に追われたが、そのために攻撃時のクオリティーが下がっているようでは先は望めない。やはりまだ一皮剥けていないか。クリニックでの手術が急がれる

<FW>

南野拓実 4.5 後半のカウンターで堂安からフリーで受けたクロスは正確にコントロールすべきだった。肩でのトラップがハンドと中東の笛を吹かれたが、それがなくとも処理にもたつきDFに寄せられていた。前線からの守備でも武藤と連動できず相手の自由を許す。新「BIG3」は夢物語になりつつある

武藤嘉紀 5 同じく後半にカウンターで好機を得るも足元が覚束ずシュートを相手に当ててしまう。守備では貢献していたが、軽率なイエローをもらい次戦出場停止。中東勢の豆腐メンタルを思えば南野、武藤のどちらかがチャンスを決めていれば早々に勝敗は決していたはず

<交代>

伊東純也   5 カウンター要員も守備に奔走。ファウルを受け時間を稼いだ

塩谷 司 5 パスコースうまく切り、日本の守備を厚くした

北川航也 3 中東の笛の効果を打ち消すために投入。「テレレレレ! マモノが暴走した! しかし何も起こらなかった」

<監督>

森保 一 7 中東の笛にブチ切れる。普段見せないその熱さが選手らを鼓舞した。アジア相手に日本が今まで見せたことがなかった「勝負に負けて試合に勝つ」姿勢はサムライ・オブ・ブルーの新境地を開拓した

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