少年少女からの手紙
ボンジョールノ、諸君。
私のこのレポートは何もアダルトな諸君らだけではなく、これからのフッボル界を担っていくであろうヤングな少年少女らに向けたものでもある。実際に私のそのような意図は汲まれているようで、少年少女から以下のようなお手紙を頂いた。
まずはレディー・オブ・ファーストで少女の方から紹介しよう。
めいしょう、こんにちは。
いつもたのしみにしています。そこでそうだんなのですが、わたしはさいきんクラスの男の子からブスだといわれました。かなしいです。どうすればきれいになれますか? まためいしょうはどんな女の人にみりょくをかんじますか? マニア・オブ・ビューで教えてください。
さえ(小学2年生)
さえよ、可愛いお手紙をグラッチェだ。
まずは簡単な2つ目の質問からいこうか。そうだな……私のリトル・サトルステギに尋ねればグラマラスな女性を好むという答えが返ってきた。グラマラスという言葉はさえには難解かも知れないから日本の芸能人を例に出せば、インリン・オブ・オブ・ジョイトイのようなテロ・オブ・エロリストとなるね。おっと彼女は台湾人で、小学生にはやや刺激が強過ぎたかな。くれぐれもネットで検索しないように。
次に1つ目の質問だが、男の子がブスだと言ったそうだけど、まずそれが本心なのかどうかは誰もわからないよ。だってその男の子の心は読めないだろう。好きの裏返しでそう言ったのかも知れないんだしね。要はね、結局自分が決めているんだよ。さえが自分のことがきれいだと思っていれば、おそらくブスと言われたって、言った相手の目が悪かったと判断するはずさ。同じ言葉を吐かれたって、結局それをどう受け止めるかで全てが決まるんだよ。
それはビジョンの有無とも関係する。つまりね、自分に対するビジョンがなかったから、他人の言葉で自分がブレてしまうんだ。だったら今すぐビジョンを持てばいい。自分がきれいであるというビジョンをね。どんなビジョンでも決して恐れる必要ない。ビジョンが浮かんだ時点でそれは真実なんだ。それはキング・オブ・カズも教えてくれているよ。
「日本はイランに勝てますか?」
では、次に少年の手紙だ。
めいしょう、ぼくはこわいです。ねむれません。なにがこわいかというとイランがです。アジアカップのじゅんけっしょうのあいてがイランになったので、ぼくがマニア・オブ・ビューをしたところすごく強そうだったのです。日本はイランにかてますか?
わたる(小学1年生)
わたるよ、恐れる必要はない。たかがスポーツだ。何もイランが日本の国土を荒らしにくるわけでもないんだからね。
しかしわたる、君のマニア・オブ・ビューはなかなか本質を突いているぞ。私のプロファイリングでもイランがアジアでは最も手強い相手だという結論が出ているんだ。日本にとっては今大会の天王山となることは必至で、巷では2:8で日本が不利だという声すらあるくらいだ。
確かに両チームのここまでの勝ち上がりの内容を見ればそういった声が上がることも理解はできる。その上イランには他の中東勢に見られるような精神的な弱さを期待することはできない。それは彼らが幾多の戦乱を潜り抜けてきた憂国の戦士だからなんだ。
わたるには難しい話になるが、近年でも湾岸戦争をはじめ、9.11のテロを発端とするアメリカの侵攻、フセイン亡き後に勃興したイスラム国など、国が瓦解してしまうような危機に面しても彼らは何度も立ち上がってきた。そのメンタルはアラブ圏内では突出しているんだ(名将はイランとイラクを混同している模様)。
しかし日本も侍の国だ。そこには連綿と武士道が受け継がれ、その気高さはイランのそれに勝るとも劣らない。そういった意味ではこのアジアカップ準決勝「イラン―日本」戦はメンタルの戦いとなるはずだ。それはおそらく技術を超越した戦いとなるだけに、細かなプロファイリングはもはや意味をなさない。
そこでわたるからの「日本は勝てますか?」という質問だが、私はあえて答えないという選択肢を取りたい。それは実況者からプレーの展望を求められた阪神のOB、川藤幸三氏の心境にも似ている。
「あれこれ言わんと静かに見ましょうや!」
わたるにはチンプンカンプンだったかな。ただこれだけはわかってほしい。本来スポーツはやるのも見るのも楽しむことが先決だ。決して恐れるものではないんだよ。
そうは言ったものの最後にアダルトな諸君らだけに向けて私の狙い目を発表しておこう。日本の「1―0」「2―0」「2―1」「3―1」「3―2」「0―1」「0―2」「1―2」「1―3」「2―3」「延長(PK)勝ち」「延長(PK)負け」だ。