ボンジョールノ、諸君。
北川という男は一体何者なんだ。いや、昨日のアジアカップの日本―トルクメニスタン戦の話だ。日本の3―1で迎えた後半33分、ヤツがハーフウェーラインの辺りで理解に苦しむ挙動を見せてボールを失うと、それがPKに繋り失点の発端となった。実に悔やまれる軽率なプレーだ。このままスコアは動かず3―2で日本の勝利となったが、一方の私にはドローが確定した。
このドローとは私のプロファイリングのことだ。試合前に私がプロファイリングした内容が以下となっている。
まず日本の勝利は固いと見て、日本の「3―0」「4―0」「5―0」「4―1」「5―1」と流すつもりだが、アジアカップにはマモノ(魔物)が棲んでいることも考慮しなければならないので、さらに「1―0」「2―0」「3―1」「4―1」という4点も保険に加えておこう。
赤文字のところを注目してほしい。北川が交代でピッチに投入され錯乱するまでは私のプロファイリング通り3―1で順調にスコアが推移していた。この3―1というスコアは私がマモノファクターを加味した上で算出した数字だが、抽象的な意味合いとしてのマモノ以外にまさか実際に人間の造形をしたマモノが日本側にいたとは、私のプロファイリング不足は否めない。
法事により乱れたプロファイリング
しかしこんなことは言い訳のようにも聞こえ言いたくはないのだが、実は私がこの試合をプロファイリングした日はおじいちゃんの法事の日と重なっていて、母からアルゼンチンにすぐに戻ってくるよう厳命されていたのだ。故にプロファイリングに時間を割くことができず、サムライ・オブ・ブルー内にいた北川という地雷を発見することができなかった。ともあれ日本の勝利は見事に的中させたので、スコア予想の外れとを相殺し、今回のプロファイリングの結果は不本意ながらドローと見ていいだろう。
マニア・オブ・ビューで選手らのプレーを斬る
ではこの辺で私の高度なマニア・オブ・ビューを駆使して、日本チームの試合の寸評と個人の採点(10点満点)に移りたいと思う。
【寸評】
前半は中を固める相手に正面から突貫を繰り返し、日露戦争における203高地の現代版を再現したが、後半は柔軟に28サンチ榴弾砲とも言えるロングボールでサイドから切り崩し、逆転に成功してアジアカップの初戦を白星で飾った。
【個人採点】
<GK>
権田修一 6 先制点を許したミドルはコース的には甘く止めてしかるべきレベルだったが、川島のように失点をさも味方のせいだと言わんばかりの態度を取らなかったその潔さは評価したい。
<DF>
長友佑都 8 逆転ゴールをアシストしたことよりも金髪が馴染んでいなかったことを自覚し、黒髪に戻してきたその自己修正力は見過ごすべきではない。
酒井宏樹 6 マルセイユでの活躍を思うと少し物足りなさが残った。フランスで生活しているだけに昨今の暴動で被害に遭い、傷心している可能性も。
槙野智章 6 まだ結婚式の余韻を引きずっていたようだ。時折、明後日の方角を眺めては結婚式を追想していた。
吉田麻也 6 チームへの合流が遅かったとはいえ、キャプテン、守備の要として2失点は頂けない。プレミアリーグの日程で槙野の結婚式への出席が成らなかったことが心理面に影響したか。
<MF>
柴崎 岳 5 クラブでの立ち位置を象徴した見てる側がガクガクするようなひどい出来だった。ガクガクさんではゴロリも寄り付くまい。次戦でワクワクさんに変貌した姿を見せてほしい。
原口元気 6 同点弾こそ演出したが、そのプレーの粗さはかえって中島翔哉の不在を引き立てることに。元気だけが取り柄だがその元気もなかった。
冨安健洋 6 慣れないボランチでの起用だったが、犬のようにボールだけしか見ない山口某よりもフッボルIQは高いと見る。
堂安 律 7 3点目のゴールはシュートという選択の勝利だ。ただこれは相手に当たってのゴールで、一昔前のサッカーゲームではオウンゴール判定になっていたことだろう。
南野拓実 5 見せ場なし。中島の不在が最も顕著に影響した一人。旧「BIG3」のたけし、さんま、タモリはソロでも結果を残してきたが、彼はまだ他の2人が揃ってでしか煌めきを放っていない。新「BIG3」への道は遠のいた。
大迫勇也 9 トルクメニスタンDF談「同点ゴールに逆転ゴールってめっちゃゴールするもん。そんなん出来ひんやん、普通」。彼の嘆きからもわかるように、文句なしのマン・オブ・ザ・オブ・マッチ。
<交代>
北川航也 1 マモノぶりを発揮し、私から勝利を奪い取った張本人。その罪はマリアナ海溝よりも深い。
<監督>
森保 一 7 交代枠を1つしか使わなかったことは議論を呼ぶところだが、1000円カットで切ったようなその一貫した髪形には信念の強さを感じる。他の強豪国も苦しんだ初戦で勝利という形を残したことは及第点とすべきか。
日本の次戦は13日のオマーン戦だが、開催地が中東ということを鑑みればこのオマーンがウズベキスタンよりも予選における対抗馬となり得る。この重要な試合のプロファイリングはまた次回に行いたい。