ライバルチームへ移籍する意味
ボンジョールノ、諸君。
実に興味深いニュースが飛び込んできた。
ベシクタシュでプレーする香川真司に対し複数のブンデスリーガクラブが興味を持っているようだ。28日付けの独メディア『90min』はトルコメディア『aspor』がシャルケとレバークーゼンの2チームが香川に注目していると報じている。
(略)
仮にシャルケ移籍となった場合、両チームは強烈なライバル関係にありドルトムントサポーターが香川に対しブーイングをする可能性も十分考えられる。日本代表にも復帰し今後の活躍が期待される香川が来季はどこでプレーする事になるのだろうか。
(フットボールチャンネル編集部)
知っての通り香川の在籍しているドルトムントとシャルケは同じルール地方のゲルゼンキルヒェンを本拠地とし、その試合はルールダービーと呼ばれている。仮に両チーム間での香川の移籍が成立したとすれば、これは一つの事件となる。
ライバル関係にあるチーム間の移籍には往々にして激しい愛憎が生まれるもので、2000年にフィーゴがバルセロナからレアル・マドリードに移籍をした際にはピッチ上にバルシスタから豚の顔が投げ込まれたくらいだ。
親の仇でもないのにこれほどまで野蛮な行為に走らせるフッボル風土に日本の諸君らは戸惑いを見せるかもしれないが、例えば阪神のエースや4番が巨人に電撃移籍していくと想像してみてくれ。グラウンドに豚の1匹や2匹、放り込みたくなるだろう。
両サポーターが新次元に突入?
ただ私は香川に限ってはその例外的な事案になると考えている。彼はドルトムントのアイドルであり功労者であり印籠でもある。どんな境遇にあっても決して不遜にはならず、常にフォア・ザ・チームなその態度はムンターたちに深く浸透しており、例え移籍先がシャルケであっても大多数のムンターは香川の幸運を願い、快く送り出してくれるはずだ。
一方のシャルケにしてみれば香川の獲得は単純な戦力補強ということに加え、ルールダービーの申し子である天敵がいなくなるという『アーモンドグリコ』のような1粒で2度おいしい効果がある。シャルキストたちにとってもあの憎たらしくも妬ましかった香川が手駒に加わるのだから、これほど心強いものはない。
そのような両サポーターの心情を勘案すれば、おそらく来季のルールダービーではムンターとシャルキストの両方からシンジコールが巻き起こる異様な光景が見られることだろう。
そこではムンターとシャルキストが香川の活躍のみを願うシンジリスタに転生し、争いのない平和な空間がスタジアムに現出するのではないかと私は予想している。