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繰り返されたPSGの「パリの悲劇」 ディマリアに届かなかった名将の教訓

更新日:

Free-Photos / Pixabay

2季ぶりに起こった逆転の「史上初」

ボンジョールノ、諸君。

チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、4連覇を目指すレアル・マドリードがホームでアヤックスに歴史的な逆転負けを喫したのに続き、優勝候補のパリ・サンジェルマン(PSG)が1st・オブ・legからの絶対的優位を生かせず、6日に行われたホームでの2nd・オブ・leg、マンチェスター・ユナイテッド戦に1―3で敗れ、3年連続でベスト16で姿を消すことになった。しかもCLの決勝トーナメントで、アウェーでの1st・オブ・legを2―0で勝ったチームが結果的に勝ち上がれなかったのは、史上初の珍事だという。

そのような珍事は2年前のシーズンにも起こっていた。同じく決勝トーナメント1回戦でバルセロナを相手に1st・オブ・legのホームを4―0と大勝したPSGはほぼ突破を決めたかと思いきや、アウェーの2nd・オブ・legで1―6と崩れ、2戦合計5―6で敗退。この1st・オブ・legの4点差勝利からの逆転敗退もCL史上初だった。

ただこの時は点差はあれど、少なくともアウェーでの敗戦ということでまだ気持ちの整理はしやすかっただろうが、今回はホームでの失態なだけによほど悔やまれるはずだ。近頃のパリはデモで治安が不安定だというのに、そこへ新たな燃料を投下してしまうとは、マルセイユ在住の酒井宏樹も気が気ではないだろう。

1クラブだけに留まらない国民的症状

このもはや様式美とさえ感じる逆転での敗退現象を私は「PSG症候群」と名付けようかとも考えたのだが、そもそもこれはPSGという1つのクラブだけに留まった話ではないことに気付いた。

それは1994年アメリカ・ワールドカップ欧州予選でのことだ。グループ6は残り2戦となった時点でフランスがグループ首位に立つ。そのフランスは残りのホーム2連戦を1つでも引き分ければ8年ぶりの本大会出場が決まるという優位な状況の中、まずはイスラエルと相まみえることになった。

当時のフランスは世界最強のツー・オブ・トップと言われたカントナとパパンに、中盤にはデシャンやプティ、DFにはデサイーとブランといったワールド・オブ・クラスを豪華に揃え、本大会の前から優勝候補の一角に挙げられていた。その評判通りに予選も順調に勝ち点を積み上げ、その中には4―0と大勝したアウェーでのイスラエル戦も含まれていた。

そんな敵地でも圧倒したイスラエルにフランスは引き分けすらも想定せず、大勝して本大会へと試合前から楽観ムードを漂わせていたが、蓋を開けてみれば終盤まで2―2と食い下がられ、ロスタイムにはカウンターからカンフーキックで勝ち越しを許し、本大会出場を最終戦に持ち越してしまう。

2戦連続で終了間際に…

そして運命の最終戦の相手はブルガリア。予選初戦のアウェーでは苦杯を舐めたが、ホームとなる今回は、勝利が絶対条件のブルガリアに対し引き分けでも通過となるフランスが断然有利な立場となっていた。しかしイスラエル戦後に喜びと安息を得るはずだった選手らは、再びヒリヒリとした戦場に呼び戻されたかのような状況で精神面での危惧も囁かれたが、前半32分にパパンの折り返しからカントナが幸先よくゴールを奪い、本大会出場をグッと引き寄せる。

ただここからがいけなかった。どうやらフランス人には余裕が出ればすぐにコーヒーブレイクを取ろうかという気質があるらしく、そこから選手らのプレーが徐々に緩慢になっていく。その隙をストイチコフを擁するブルガリア史上最高のチームが見逃すはずもなかった。

先制した5分後にはすぐさまコスタディノフに同点弾を許す。それでも何とか1―1のままで凌ぎ続け、迎えた後半の44分。相手陣内の右サイド深くからのFKで、ジノラが時間稼ぎもせずにドーハの武田を思わせる意図不明なクロスを上げるとボールは転々と逆サイドへ。それを拾ったブルガリアがカウンターを発動し、たった3本のパスから44分58秒にまたしてもコスタディノフにスーパーゴールを決められる。

俗に言う「パリの悲劇」だが、つまり土俵際でうっちゃられることは何もPSG特有の症状ではなく、フランスの国民病とも言えるのだった。

ディマリアへ送ったあるインタビュー映像

実は私は1st・オブ・legで2アシストをした同郷のディマリアに、その浮かれ気分を戒めるために一本のインタビュー映像を彼の元に送り届けた。

そこには巨人と近鉄が対戦した1989年の日本シリーズで、近鉄の加藤哲郎が初戦から3連勝後のヒーローインタビューで「シーズンの方がよっぽどしんどかったですからね。相手も強いし…」と発言した映像が収められている。

その慢心が祟って近鉄はそこから4連敗をしてシリーズの優勝を逃すことになり、その教訓をディマリアがうまく汲み取ってチーム全体に共有してもらいたかったのだが、結果から推量するに私の思いはどうやら届かなかったようだ。今思えばVHSな上に全編が日本語なので視聴したところで効果があったかどうかは疑問だが、それにしても過去の出来事であるにせよ、巨人の優勝に言及することは実に不愉快この上ない。

これは余談だが、加藤の先の発言はマスコミのフィルターによって「ロッテの方が強い」と大きく改変されている。これでは本来のニュアンスが失われ、強く煽情的な言葉へと変質してしまうことになる。

こういったマスコミの虚実を無視した煽情主義には呆れ返るばかりだ。だから2008年のペナントレースで、阪神が13ゲーム差を追いつかれ世紀のV逸を遂げてしまったのに、『08激闘セ・リーグ優勝目前号 Vやねん!タイガース』という恥ずかしいタイトルの雑誌を、順位の確定前に見切り発車で世に送り出してしまうのだ。

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