左足が生み出してきた栄光
ボンジョールノ、諸君。
J2から実に興味深いニュースが舞い込んできた。
J2横浜Cが今夏の移籍市場で、元日本代表MF中村俊輔(41)=磐田=の獲得に乗り出していることが1日、分かった。2007年以来、13季ぶりのJ1昇格を目指しているが、今季はここまで7勝5分け8敗と負け越して13位と出遅れている。巻き返しの切り札として、日本を代表するレフティーに白羽の矢を立てた。交渉がまとまれば、FW三浦知良(52)との夢のレジェンド共演が実現する。
(スポーツ報知)
記事中ではレジェンドの共演と2人を同等の如くに扱ってはいるが、中村とてカズの前では月前の星であることを我々は忘れてはならない。そしてこの移籍話の実体はそれを証明するように、レフティーがキングへ助け舟を求めたという色合いが濃いことを私のマニア・オブ・ビューが突き止めたが、それは後述することになる。
確かに中村の海外における実績だけはカズをも凌駕している側面はある。セリエAのレッジーナでは歴代ベスト・オブ・イレブンに選ばれ、スコットランドのセルティックではチャンピオンズリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦でのFKに特筆されるようにその左足から幾多のタイトルと栄光を生み出し、欧州でこの世の春を謳歌していた。
スペイン挑戦でサッカー人生が暗転
ただ次の移籍先となったスペインのエスパニョールでは順風満帆なフッボル人生が突如として暗転する。13試合でノーゴールとさしたる爪痕も残せずに1シーズン足らずでJリーグに都落ちする結果になったのだ。
この中村のラ・リーガでの挫折を当時監督だったポチェッティーノは「適応」の問題だと述べ、その適応を果たせなかった要因について様々なメディアや識者が分析を行っていたが、私からすればどれも見当外れな論評ばかりで、そのマニビュー値の低さに呆れ果てていたことを記憶している。
私のプロファイリングによれば、中村がスペインでの成功を得られなかった原因はその「視野」によるところが大きいとの結論が出ている。ラ・リーガではとにかくGKからボール繋ぐ意識が高く、常にパスコースを確保できるだけの俯瞰的な視野がより必要となってくる。
もちろん中村の本来の視野はスペインでも引けを取らないレベルにはあったのだが、どうしてもあの妙なヘアスタイルが故に視界が前髪に遮られ、視野が幾分狭窄してしまっていた。ロングボールをある程度多用するセリエAや質の劣るスコットランドでは何とか誤魔化せてはいたものの、スペインではあのヘアスタイルが命取りとなったのだ。
ファッションモンスターなら最適解を見つけられる
それでもJリーグの横浜F・マリノスに戻ってからはやはり個としての格の違いから2013年にはリーグMVPを獲得するなど輝きを取り戻していたが、ここ数年は加齢のせいかプレーに錆が見られ、現在所属するジュビロ磐田ではケガの影響もありほとんど試合に出られずにいる。
そしておそらく中村はこの練習もままならない苦難の時を利用し、己のフッボル人生を振り返ったのだろう。そして気づいたはずだ。ずっと前髪が邪魔だったことを。
だからと言って40歳を過ぎてからのイメチェンには勇気がいる。そこで頼ったのがキング・オブ・カズだった。
カズといえばその服装と共にJリーグ発足時のソフトドレッドから幾度も髪形を変えては我々を魅了してきたファッション・オブ・モンスターだ。中村はそのカズになら目に前髪がかからない自分に合った最適解のヘアスタイルを見出し、フッボル寿命を引き延ばしてくれるのではと思い、横浜FC入りを前向きに考慮するようになったのだろう。
私もその決断を支持したいと思うし、横浜FCのユニフォームを纏った新ヘアスタイルのシュンさんが見られることを大いに楽しみにしている。