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Jリーグ 名将のコラム 名将のマッチレポート

久保建英よ、グリーズマンを目指せ! 名将のメンタル強化策とは?

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Kaz / Pixabay

フロンターレの高い足元の水準

ボンジョールノ、諸君。

私のレポートは主に欧州や世界のフッボルシーンをマニアな見地から紹介することを旨としているが、原則日本のメディアで発信していることを思えば、先ごろ開幕したJリーグに触れないわけにはいかないだろう。私は先週末に今年47回目の極秘来日を果たしたのだが、その滞在中の23日に「NH・オブ・K」で放送していた「川崎フロンターレ―FC東京」戦を見ることができた。

私のマニアな視線は常に最高峰である欧州に向けられているため、余りJリーグに目を配る暇はないのだが、しばらくぶりに見た川崎のフッボルにはいい意味で驚かされた。

Jリーグを2連覇中の好チームであることは側聞していたが、ここまで選手らが戦術へのビジョンを共有し、各自が与えられた役割を全うしながら、適切な距離間でもって人とボールとが連動するフッボルを、私は未だアジアでお目にかかったことがなかった。

Jリーグを眺めていて感じるのがプレースピードの遅さなのだが、川崎にはそれがない。すなわちどの選手の足元も速いパスをさばけるだけの一定の技術水準を有しているのだ。フッボルがいくらチーム・オブ・スポーツだとは言っても、高倉健(不器用の比喩か)を11人集めたところで当然にスペクタクルは生まれてこない。チームの核は戦術や連携にあるのではなく、選手それぞれの個にあるのだ。

昨季とは見違える久保の守備

しかしそんな川崎イレブンの高い技術でもってしても、対峙する東京の17歳、久保建英の前では月前の星のようにいたく霞んで見えた。

川崎に押し込まれる展開が続いて久保がボールに触れる機会はそう多くはなかったが、ボールを持てばそれがそのまま東京のチャンスへと直結していた。トラップは柔軟でボールの置き所もよく、前半3分のタッチライン際ではキープ力を見せ、8分には囲まれてもアジリティーで打破し、38分のボール奪取からはスルーパスでチャンスメーク。加えて39分にはFKで精度とパワーを伴ったゴールポスト直撃弾を放つなど、その溢れんばかりの個を存分に見せつけた。

懸念されていたフィジカルも大きく向上し、守備における対人の強さや運動量も昨季とは見違えるものがあった。攻撃だけに特化するのではなく、しっかりと守備面にも気を払って取り組んできたことが伺える。

現代フッボルではどのポジションであっても守備でのタスクを強く要求される。もちろんメッシのような例外はいるが、選手として彼のようなエイリアンを指針とするのはいささか浮世離れと言える。従って久保にはこのまま守備での強化を図りながら、是非ともフランス代表のFWグリーズマンのような選手を目指してもらいたい。

馬主でワールドクラスに

グリーズマンは175㎝と小柄な体格でありながら両足の決定力は非常に高く、展開に応じては中盤でゲームを組み立て、相手ボール時には前からプレスに奔走できるオールラウンダーだ。

そんな彼を何よりもワールド・オブ・クラスに押し上げているのがそのメンタルだ。どんな大会、どんな試合であっても動じることのないそのメンタルは好不調の波を微細に留め、常に高次元で安定したプレーを保証している。それは決して持って生まれた才能ではない。馬主と言う彼のもう一つの顔が、それを強靭にしているのだ。

グリーズマンは競馬という『カイジ』のような世界に身を置くことで、勝負師としての心構えを日々鍛錬している。久保にもこういった私的な領域での研鑽を身に付けてもらいたい。JRAの規定によると、個人馬主の要件は過去2年間での所得金額が1700万円以上で、継続的に保有する資産の額が7500万円以上とあるが、久保のポテンシャルを考えれば決して高いハードルではないだろう。

名将の馬名案は?

そして馬主になった暁には是非とも私に一報を頂きたい。と言うのも、私は既に馬名候補を1つ考案済みなのである。冠名はそのまま苗字のクボを使用するとして、その下は名前である「建英」の読み方を変えて、

クボタケヒデ

というのはどうだろう。

……しまった。どこかで聞いた響きだと思ったら、日本競馬史上最強の兄弟だと言われたビワハヤヒデとナリタブライアンの弟で、期待されながらイマイチうだつの上がらなかった「ビワタケヒデ」と酷似しているではないか。これは縁起でもない。久保がそうならないことを祈るばかりだ。

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