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【巨匠のレビュー】『ドクター・スリープ』/バトルの描き方が全くわかってないぜ

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ドラゴンボールを熟読しやがれ

本来は前回の『アナと雪の女王2』の時に見るはずだった『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』を改めて見て来たんだけど、続編と言われてもシャイニングを鑑賞したのが前世紀の出来事ときているから曖昧な記憶しか残ってない。故に前作からの伏線やら関連やらを理解できないままほぼこの作品を単作として見る形になったから、そういった事情を一応は留意してもらってだね、キューブリックマニアやシャイニングマニアの連中は「お前の見方は浅い」だなんてマウントを取ろうとするんじゃないよ。暇な君たちとは土俵が違うんだから。

もちろんシャイニングの主だったシーンや大まかな世界観は覚えているから、この続編が前作とは毛色の違った作品であることくらいは理解ができる。端的に言えばシャイニングはホラー映画だったけど、このドクター・スリープは一転してバトル映画だね。

もちろんあの有名なシャイニングの山上のホテルは出てくるんだけど、正直この続編の話の流れとしてはそう必然性のない扱いで、見る(読む)側の要望もあるんだろうけど、とりあえず前作の象徴であるから客寄せとして使用した感が半端ない。スティーヴン・キングの原作が2013年の発表ということは、元々は続編の構想がなかったものを前作を大きく改変されたキューブリックへの当てつけとして無理やり書いたという幼稚な疑いがあるね(笑)。

まあその真偽の程はともかくとして、このドクター・スリープはいかにもキングらしいやっつけ仕事のような粗い筋立てになってるんだ。周りからはホラー小説の帝王だとか褒めそやされているらしいけど、バトルの描き方は全くなっていない。バトル漫画の聖典であるドラゴンボールをもっと熟読すべきだよ。

ただあくまでもこの映画が原作に忠実だというネットの情報を頼りに話してるんであって、監督や脚本家の改悪であるんなら謝るけど、まあオイラの映画評なんて読んでいるわけはないだろうから、原作通りの映画ということで散々に文句を言わせてもらうよ。

常に悪役がひどい目に遭うというナゾ展開

とにかく何がダメかってさ、正義の側である主人公らと悪の側であるカルト集団の直面していく状況が全くテレコなのよ。

どういうことかと言えば、普通は主人公の側がストーリーの中で困難や痛みに遭遇しながらも最後は悪党に打ち勝つってのが常道なのに、この映画では悪役が主人公側の術策に見事にハマって散々にボコられながら進行していくという実に斬新でマヌケな展開になってて、どういった意図があるのかと構えさせられた挙句、後述するように意図どころか矛盾を引き出すだけだったというね。

過去にも言及したと思うけど、常道が必ずしも正しいなんて言ってるんじゃないよ。演出上うまく常道を外すことによって奇抜なストーリーを紡ぎ出せることだってあるし、むしろオイラだっていかに常道を外しながらも客を満足させられるかということを念頭に置いて映画製作に当たっているわけでさ、この作品には残念ながらそういった創作上の知性が全く感じられないの。

主人公ダニーのパートナーになる少女アブラの“シャイニング(超能力)”がとにかく強過ぎて、まずはカルト集団のリーダーの女とタイマンでエスパー対決の第1ラウンドをするんだけど、見事に相手を陥れて完勝を果たす。第2ラウンドはキャンプ場での団体戦で一応は申し訳程度にダニーの親友が死ぬんだけど、ここでカルト集団のほとんどを一掃することに成功して、その団体戦のドサクサに紛れて男に拉致されたアブラが連行されている車内での第3ラウンドでは、彼女がダニーと連携してその男を事故死に追いやり、難なく3連勝を飾っちゃう。

山上のホテルが無理やり登場

こんな風にどう見ても主人公の側が相手側を呑み込んでいるような展開だから、危機的状況というものがなくてどうにも切迫感が湧いてこない。バトルってのは強大な敵や困難な状況をどう乗り越えるかが見所であって、ボス戦に至るまでの前哨戦を全てホイホイと調子よく乗り越えていくんじゃ終盤に向けての盛り上がりが欠けるってもんだよ。

それは原作者のキングがこれを撮った監督かは知らないけど、とにかく最後にシャイニングのホテルさえ出せばみんなが盛り上がるだなんて勘違いしてるから、残るはリーダーの女だけになって明らかに悪党側がジリ貧だったはずのそれまでの展開を無視して、なぜかダニーが追い詰められた感を醸し出しながら、女を倒すために毒を以て毒を制す的なこじつけた発想でホテルを登場させてしまう。

笑ったのはさすがにその筋じゃ無理があると自覚していたのか、女が生気の入った水筒を何本もがぶ飲みしてパワーアップするという安易すぎるシーンを加えてしまったことだね。ダメな所だけは少年マンガをしっかりと真似するんだから、もう少し頭を使えっての。

で、結局ホテルの中でも女との対決は前フリにしか過ぎなくて、やりたかったのはシャイニングの再現。ジャック・ニコルソンのそっくりさんなんかも出てきたりして、前作のファンに媚を売るようなサービスカットだけを提供するという何とも中身のない仕上がりになってるんだな。

もう何だか悪口しか出てこないけど、1つ良かった点を挙げるとすれば、なぜキング原作の映画がオイラの鼻につくのかその理由がわかったことだね。

先にワインの色を決めるスティーヴン・キング

どうもキングの作品ってのは最近では『IT』でもそうだったけど、とにかく愛だとか勇気だとかそういった青臭いテーマをその物語が持つ本質を弁えずに見境なく貼り付けるんだよ。

彼の創作の過程を推測するに、もちろん先にアイデアとして突飛な設定やキャラクターを思いついてはいるんだろうけど、そのアイデアを掘り下げる前にすぐにテーマや信条みたいなものをそこに放り込んじゃってるような気がする。だからそのアイデアを物語として煮込む中で自然と炙り出てくる本質というか特質というかそういったものより、自身が初めに設定したテーマなんかを優先させてしまうから、物語の展開と人物の言葉として吐き出されるテーマが妙に溶け合ってなくて、乖離が見えるんだ。

ワインで例えればアイデアという品種の葡萄があって、キングはその葡萄の特質を考慮せずにテーマという赤ワインを作ることを先にもう決めて、とにかく信念のままスピーディーにそのまま赤ワインを作るような感じ。ハマった時には力強く良質なものができるんだろうけど、博打みたいなやり方だからほとんどがB級じみた味になっちゃう。

それに対してオイラはしっかりとその葡萄を吟味した上で、そこにある特性が赤向きなのか白向きなのかをフラットに判断して、それがより生かせる方を採用するっていう職人的なやり方だから、ギャンブラーなキングのそういった粗い仕事ぶりが良いか悪いかは別にして余計に目につくんだ。要するにキングの作品とオイラとはすこぶる相性が悪いってことだね。

ちょっと最後は評論とは離れて創作論的な話になっちゃったけど、気付けば今日はクリマス・イブじゃないの。ということでオイラはこれから軍団と野球拳パーティーをしに行くから、君たちも映画ばかり見てないで精々寂しくないクリスマスを送るんだよ。

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