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名将がおススメする珠玉のクラシコは1999年のあの一戦

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suju / Pixabay

サッカー界の三大「シコ」

ボンジョールノ、諸君。

私はかねがねレアル・マドリードの復調の鍵はGKだと言ってきたが、6日に行われたコパ・デル・レイ準決勝のバルセロナ戦でそれが見事に証明されたようだ。木偶の坊であるクルトワではなくナバスをスカッドに組み込んだことで私の提唱した「IDフッボル」が機能し、アウェーでありながら宿敵バルサと1―1で引き分けることができた。

ただそのクルトワ・ナバス問題の本質については過去に何度もマニア・オブ・言及しているのでここではあえて語らない。今回、私が焦点を当てたいのはその試合の中身より、その「エル・クラシコ(バルサ―レアル)」という歴史の重みだ。

クラシコとは説明するまでもなく「エラシコ」「なでしこ(ジャパン)」とフッボル界の三大「シコ」の一つであり、その意味するところは「伝統の一戦」だ。これは何もスペインの専売特許ではなく、世界のどの国であっても歴史に裏打ちされたライバル対決は存在する。

主だったものでもドイツのバイエルン―ドルトムントの「デア・クラシカー」やオランダのアヤックス―フェイエノールトの「デ・クラシケル」。私の故郷アルゼンチンではボカ・ジュニオルス―リーベル・プレートの「スーペルクラシコ」があり、フッボルの聖地イングランドでもダービーという名でマージーサイドダービー(リヴァプール―エヴァートン)やマンチェスターダービー(マンチェスター・ユナイテッド―マンチェスター・シティ)が展開され、枚挙に暇がない。

森羅万象にクラシコを追い求める

歴史というストーリーを孕んだその熱気はクラブが本拠地とする都市だけではなく、その当事国やさらには国外にまで波及し、数多の人々を深く魅了している。このフッボルレポートを貪り読んでいる諸君らもおそらくはその例外ではないだろうが、私ほどクラシコの魔力に魅せられた人間はいないかと思う。

私は自分の血管にクラシコが流れているのではないかとさえ感じ、世界中にあるクラシコを追い求め、それらを味わい尽くしてきた。気づけばそれはフッボルに留まらず、クラシコと名の付く森羅万象全てが対象となっていた。ここにいくつか例を挙げてみると、ヘビvs.マングースの「アニマルクラシコ」、和民vs.魚民の「外食クラシコ」、若乃花vs.貴乃花の「若貴クラシコ」、おとなのえほんvs.ギルガメッシュないとの「深夜のクラシコ」……おっと、おとなのえほんはローカルネタ(サンテレビ)だったかな(名将の日本カルチャーへの造詣はかなり深い)

このように私は地球上に存在する有形無形のあらゆるクラシコを網羅していった。仮にノーベル賞にクラシコの分野があれば毎年私が受賞していたことだろう(ノーベル賞は1人1度までです)。そんなクラシコの権威である私が万物のクラシコの中から厳選の一本を諸君らに提供したいと思う。

味わい深い「伝統の一戦」

それは日本のベース・オブ・ボール、巨人―阪神の「伝統の一戦」だ。これほどまでに熱狂的で愛憎が沸騰するクラシコを私は他に知らない。特に阪神の本拠地である甲子園で行われるそれはまた格別で、何と言っても虎党による応援と罵声とで球場全体に人工地震が発生し、防災意識も高めてくれる。

その巨人―阪神戦の中でも極上の一品が1999年6月12日に甲子園で行われたナイターでの一戦だ。4―4で迎えた延長12回裏、1死1、3塁の場面で巨人のピッチャー槙原が投げた敬遠球を新庄が打ち返し、阪神が劇的なサヨナラ勝ちを収めたのだ。

1985年のバックスクリーン3連発も捨てがたいが、試合後のインタビューで新庄が「明日も勝つ!」と力強く宣言し、その1週間後に阪神が首位から陥落するという見事なオチまでついたこの一戦が、より味わい深く珠玉なものに仕上がっていると私は考える。

Jリーグへ名将からの檄

フッボル狂の諸君らの中には私がベース・オブ・ボールをクラシコの象徴の如く取り上げたことを不快に思っている者がいるかもしれないが、これは日本フッボル界へ向けた私からの檄でもあるのだ。

残念ながらJリーグに目を向けてみると、その歴史の浅さからか未だこの巨人―阪神戦に比肩できるような重みと熱さを持ったクラシコは現れてはいない。そういった憂いもあり、私はJリーグがこの先、歴史と伝統とを積み重ねていく途上で真のクラシコを見出してもらいたいという願いも込めて、この伝統の一戦を引き合いに出したのだ。

Jリーグでも「明日も勝つ!」の雄叫びが聞こえてくる日を私は心待ちにしている。

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