「令和のフーテンの寅」こと本田圭佑がようやく次の職場を見つけたらしい。
日本代表MF本田圭佑のボタフォゴ加入が決まった。
昨夏にメルボルン・ビクトリーから退団後、半年にわたり無所属の続いた本田。11月にはCSKAモスクワ時代の恩師、レオニド・スルツキ監督率いるフィテッセに加入したものの、指揮官解任に伴い、12月に退団し、再びフリーの状態となっていた。
(GOAL)
ボタフォゴとはブラジルの老舗クラブで、上級国民の本田でさえ南米にまで職を求めに行くというのに、ニートの諸君らが未だに自宅というゴール・オブ・マウスを守り続けているのは、日本社会の歪みという他ない。
まあそれはいいとして、このサプライズ移籍をボタフォゴのサポーターらが熱烈に歓迎し、メッシが降臨したかの如くはしゃいでいることには違和感よりも、ある重大な危惧を私に抱かせる。
ブラジルは腐ってもフッボル王国だ。ボールを持って赤ん坊が生まれてくると言われるくらい、国民のフッボルを見る目は厳しい。そんなブラジル人が、フィテッセでは恩師がいなくなった途端に出場機会がなくなったように、コネがなければオランダ1部の中堅チームのスカッドにさえ入れない今の本田の実力を評価しているとは到底思えない。
となると、彼らは大きなボタンのかけ違いをしているのではないか、そう推察するのが自然であろう。つまり彼らは本田に虚像を見ているのだ。どういった虚像かと言えば、「ホンダ」の虚像である。
ブラジル経済はバラマキ政策の失敗から長らく不況に喘ぎ、ボタフォゴの本拠地であるリオデジャネイロも2016年の五輪後の反動によってさらに不況に拍車を掛けてしまった。リオの市民は生活に窮し、職にさえありつけない人々が街に溢れ返っている。そんな環境の中でホンダが来ると聞けば、彼らは「ケースケ・ホンダ」ではなく、自動車ブランドの「Honda」を思い浮かべるはずだ。
すなわちリオっ子は「Hondaの工場が地元に建設される。これで職にあるつける。ヒャッハー!」。そんな勘違いに基づいたとんでもないぬか喜びをしている可能性が極めて高いのだ。
当の本田もそんなリオっ子の勘違いを憂慮してか、自身がブラジルに降り立った時に「騙された! こっちのホンダか!」と怒り狂ったリオの群衆に備え、装甲車をクラブ側にリクエストしたのだろう。何ともお騒がせな男だ。