21日に行われたFIFAクラブワールドカップ(W杯)の決勝で欧州王者のリヴァプールが、38年前の前身トヨタカップでは苦杯を舐めていた南米王者フラメンゴに雪辱を果たし、見事に大会初制覇を飾った。
【AFP=時事】19クラブW杯(2019 FIFA Club World Cup)は21日、決勝が行われ、リバプール(Liverpool FC、イングランド)は延長の末に1-0でフラメンゴ(Flamengo、ブラジル)に勝利し、大会初優勝を果たした。
リバプールは延長前半にロベルト・フィルミーノ(Roberto Firmino)が決勝ゴールを奪取し、ユルゲン・クロップ(Jurgen Klopp)監督も「非常に衝撃的」と評するクラブW杯優勝を飾った。
大会前は大本命とされていたが、決勝どころか初戦の準決勝でさえ思わぬ苦戦を余儀なくされ、薄氷を踏むようなギリギリでの栄冠だった。その原因は国内リーグなどの過密日程の影響もあろうが、殊にこの大会に対する他大陸王者のモチベーションの高さが挙げられよう。
他大陸のクラブにとってはこのクラブW杯こそが目指すべき到達点であり、仮にリヴァプールが例年の欧州王者に見られる上段から迎え撃つような気分で臨んでいたならば、私は準決勝での敗退もあり得たと思う。
しかしリヴァプールはその両試合においてアディショナル・オブ・タイム、延長という土壇場での決勝点を挙げ、ライバルたちを振り切った。そしてその火事場のクソ力を引き出したものが、迎え撃つのではなく、こちらから向かうという挑戦の意識だった。
では何に対する挑戦だったのか? 言うまでもなく、新加入した南野拓実に対する挑戦だ。
中盤から前のポジション、いや下手をすればSBすらもこなしてしまうオールラウンド性を秘めた南野に対する、ウカウカしていると自分のポジションが奪われるという危機感、その危機感が南野への挑戦という意識を生み、それが勝負所での個々の選手らのプレー強度や質を高めることになった。
その証拠に両試合で決勝点を挙げたフィルミーノのポジションは南野が一番に適性を発揮できるシャドーで、そうした彼の凄まじい危機感が得点という結果に結びついたのだろう。
まさに南野の加入がリヴァプールイレブンを発奮させ、クラブW杯優勝へと導いたと言っても過言ではないのだ。