ホームの利点を自ら引っ込める
不穏なニュースという他ない。いや、15日に行われたカタールワールドカップ(W杯)アジア2次予選、北朝鮮―韓国との一戦で見られた光景のことだ。
29年ぶりに平壌開催となった試合は韓国国内で生中継はなく、観客も取材陣もシャットアウトされた。異様なムードの中で試合を観戦した国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長は「歴史的な試合が満員の観客でに埋まることを期待したが、観客が1人もいなくて失望した」と無観客試合を嘆き、「メディアの言論の自由は最も重要な問題」と批判した。
(ゲキサカ)
日本で開催されているラグビーW杯を見てもわかるように、自国民の声援は選手らのポテンシャルをさらに底上げするという効果があるのにも拘わらずそのホームでの利点をわざわざ自ら引っ込めてしまうとは、実に不可解極まりない。
その理由については様々な憶測が立てられよう。メディアや識者は南北戦ということで感情的になった北朝鮮の観衆が暴徒と化し、国家の秩序や統制が乱れてしまうことを危惧したなどと主張するかもしれないが、これはいかにも三流のノータリンどもがのたまいそうなことで、物事に鋭く切り込むマニア・オブ・ビューラーの私の分析はより暗澹で、深刻なものとなっている。
このようなフッボルミステリーに取りかかる際、その試合の前後に起きた事象に囚われるだけでなく、そこに至るまでの歴史的な経緯に思いを馳せることが重要になってくる。つまり、木ではなく森を見ることだ。
米国が及び腰になった理由
実はこのミステリーを解く鍵は、私が以下のレポートで引用したあるニュースにあったのだ。
【アジアカップ】謎を呼ぶ北朝鮮の醜態 名将が突くその大敗の元凶とは?
中東3チーム相手に14失点 ボンジョールノ、諸君。 「0―4」「0―6」「1―4」。以上は北朝鮮のグループステージでの成績だが、勘 ...
そのニュースをここにまた転載してみよう。
サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、北朝鮮は初戦のブラジル戦で惜敗したものの、1−2と健闘を見せた。しかし、第2戦となったポルトガル戦では0−7の大敗を喫したことに対し、韓国紙「朝鮮日報」はこのほど、北朝鮮が大敗したのは「戦術に対する金正日総書記からの軽率な指示が原因だった」と報じた。
報道によれば、北朝鮮代表の金正勲(キム・ジョンフン)監督は、ブラジル戦を終えた直後、米スポーツ専門チャンネルESPNの取材を受け、「金正日将軍様から肉眼では見えないステルス携帯電話で戦術に関する指示を受けている」を語った。
(サーチナ)
注目すべきは最終行だ。北朝鮮はW杯南アフリカ大会、すなわち2010年の時点で既に携帯電話の透明化に成功していたのだ。となるとそこから約10年が過ぎた現在、人間の透明化に成功していないと見る方が難しい。
つまり先日の試合は無観客試合ではなく、北朝鮮政府による軍事的な実験だった可能性が高いのだ。スタジアムに何らかの電波装置を設置して、客席だけが透明になるかどうかを試していたのではないか。仮にそうであれば、北朝鮮はその実験に見事な成功を収めたことになる。
なるほど、最近の米国が北朝鮮には及び腰になっている理由が見えてきたぞ。北朝鮮の最終ウェポンは核兵器ではなく、米国すらも開発できていないこの人体透明化技術、つまりステルス兵士だったのだ。
とんでもない結論に行きついてしまったが、それに対応した日本の安全保障体制の刷新が急がれる。