メディアによるお粗末な楽観論
ボンジョールノ、諸君。
まだ微かにではあるが、カタールで開催される2022年ワールドカップの足音が聞こえてきたようだ。
アジアサッカー連盟(AFC)は17日、2022 FIFAワールドカップ カタールのアジア2次予選の組み合わせ抽選会を行った。日本はキルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルと同組のグループFに入った。2次予選では各組の1位と、2位の成績上位4チームの計12チームが最終予選へ進出する。
(SOCCER KING)
日本はシード国としてこの2次予選からの登場となるが、実に厄介なグループに入ってしまったというのが私の率直な所感だ。ノータリンなメディアはこの組分けに「天国」やら「無風」やらと修辞を付け楽観しているが、それは国名から受けるただの印象論の域を出ず、評論というには余りに粗末な代物だ。
FIFAランクでは3位の激戦区
日本の入ったF組がいかに平坦でないかは、各グループ毎にFIFAランキングの総計を取り、それを順位化するだけでもわかることだ。
①<C組>=517
イラン(20位)
イラク(77位)
バーレーン(110位)
香港(141位)
カンボジア(169位)
②<D組>=557
サウジアラビア(69位)
ウズベキスタン(82位)
パレスチナ(100位)
イエメン(144位)
シンガポール(162位)
③<F組>=568
日本(28位)
キルギス(95位)
タジキスタン(120位)
ミャンマー(138位)
モンゴル(187位)
④<E組>=574
バングラデシュ(183位)
オマーン(86位)
インド(101位)
アフガニスタン(149位)
カタール(55位)
⑤<H組>=581
韓国(37位)
レバノン(86位)
北朝鮮(122位)
トルクメニスタン(135位)
スリランカ(201位)
⑥<B組>=587
オーストラリア(43位)
ヨルダン(98位)
台湾(125位)
クウェート(156位)
ネパール(165位)
⑦<G組>=598
UAE(67位)
ベトナム(96位)
タイ(116位)
マレーシア(159位)
インドネシア(160位)
⑧<A組>=625
中国(73位)
シリア(85位)
フィリピン(126位)
モルディブ(151位)
グアム(190位)
このようにFIFAランキングに基づいた単純な指標でも、日本のF組は上から3番目の激選区となっている。そこにきてF組には他の組にはない大きな不確定要素が孕んでいる。それはグループ内でFIFAランクが最も劣るモンゴルだ。
モンゴルと言えば多数の力士を日本の大相撲に送り込んでいるフィジカル大国だが、このフィジカルは日本人が最も不得手とする分野だ。しかし並みのモンゴル人のフィジカルレベルなら日本人選手の技術で以てすればそう捌くのに苦労はないが、例えば以下の動画のようなフィジカル・オブ・アスリートがピッチ上にいたとすれば、これは由々しき事態となってくる。
ドルジという名の最終兵器
そう、朝青龍ことドルジだ。
大相撲の横綱にまで上り詰めたほどの屈強な身体能力を有しながら、ボールを扱う柔軟さとスピードを持ち合わせている。仮に2次予選でドルジがモンゴル代表の最終兵器としてFW登録されれば、日本も吉田、昌子、冨安の欧州CB三羽烏を呼び寄せ、3バックで万全を期す必要があるだろう。
ドルジの加入はモンゴルのFIFAランクを実質80は押し上げると見られ、よってF組のFIFAランクの総計はトップの488となり、一転「死の組」と化す。どうやら日本のアジア予選は出だしから息の抜けない戦いとなりそうだ。