ボンジョアン・ピント、諸君。
どうやらバロン・オブ・ドール(バロンドール)には前評判通り、ルカ・モドリッチが選出されたようだ。これで彼はUEFAとFIFAの年間最優秀選手賞とを合わせて個人で3冠の栄誉に輝いたということになるが、この件について私は過去のレポートで決してメシウド(メッシとロナウド)の2強時代が終焉したということを意味しないとも書いた。実はそこに現在のフッボル界に蔓延する不正や汚職に対する私なりのアンチ・オブ・テーゼを示されていたことには誰も気づかなかっただろう。
モドリッチの受賞を画策した利権集団の存在
その時点で家族がある私はフッボル界の闇に対して声を上げることに二の足を踏んでしまい、レポートの中では暗にバロン・オブ・ドールの現状に異議を唱えるだけに留めてしまったのだが、こうしてメシウドを差し置いてモドリッチが受賞した光景を実際に目にしたことで、私は良心の呵責に耐えかね、その深い闇にメスを入れ告発することを決心した。
このバロン・オブ・ドールをはじめ、今年度の個人賞におけるメシウドの不自然な排除は、フッボル界をビジネス面から牛耳るある利権集団によって画策されたものだ。この10年でメシウドが頂点に君臨し続けるあまり、世界の隅々にまで彼ら2人のグッズが行きわたってしまい、その関連商品の需要が頭打ちを起こしたのだ。それは最近のスマホ市場と酷似していると言える。そこで利権集団は新たなヒット商品を生み出すべく、メシウドとは別のプレーヤーに世界一という称号を授け、ミコシ(神輿)として担ぐことを思い立った。
名将にも届いた悪魔の囁き
この巨大な汚職を私が目の当たりにしたのが、「フランス・フットボール」誌から私のもとにバロン・オブ・ドールの投票案内のメールが届いた数時間後のことだった。一本の非通知電話が私のスマホ「エクスペリア」(親日家の氏はソニーを愛用している)にかかってきた。
男「ボンジョールノ、マエストロ」
名将「ボンジョーコイズミ(小泉。ボクシングのマッチメーカー兼解説者)。誰かね?」
男「あなたがそれを知る必要はない」
名将「ほほう。なぜだ?」
男「数時間前にバロンドールの投票案内が届いたことだろう」
名将「まだyahooメールをチェックしていない」
男「モドリッチの名を書くんだ」
名将「どう意味だ?」
男「素晴らしい選手だろ」
名将「君の意見に異論はないが、投票には私自身の思う名前を書かせてもらう」
男「身のためだ」
名将「身のため? 映画でしかお目にかかったことがない台詞だな」
男「これは決してアンタにも悪い話じゃない」
名将「何が目的だ?」
男「口座を教えてくれ。1万ユーロじゃ安いか?」
名将「断る」
男「吊り上げよう」
私は背筋の寒さと同時に怒りの熱を覚え、未だにフッボル界はこのような汚れの中にあるのかと絶望さえもした。そして私はプロファインリング・ラボのスタッフにこの不正の実態や黒幕の調査を指示し、そして得た結論が先述したモドリッチをフッボル界の新商品として売り出すという謀略だった。
世界のサッカーファンのために不正と闘うことを決意
おそらくこの醜い利権集団はUEFAやFIFAの年間最優秀選手賞で投票資格のあった選手や監督らにも圧力をかけていたと思われる。もちろんモドリッチには何の罪もない。私も彼のプレーには深く感銘を受けているだけに、目の濁った年寄どもの操り人形として受賞してしまったのが残念でならない。
私の身に何かがありこのフッボルレポートが途絶えてしまうことがあるかもしれないが、私はこれからも世界中のフッボルファンや未来ある子供たちのために業界の不正を追及していきたいと思う。
編集者注:名将のバロンドール投票先 1位ルカ・モドリッチ、2位ケイロル・ナバス、3位川島永嗣 (先月、食事の席で笑顔で語っておられました。普段、お会計は割り勘なのですが、その日は不思議に羽振りがよく、ご馳走していただきました)