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スペルミス被害のイブラヒモビッチが救った1人の下級市民の生活

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Free-Photos / Pixabay

衝撃の“イルバヒモビッチ”

ボンジョールノ、諸君。

アメリカのメジャーリーグ・オブ・サッカー(MLS)で珍事件が起きたらしい。

米メジャーリーグサッカー(MLS)で、カリスマストライカーがまさかのスペルミスに襲われた。現地時間4日にトロントFCと対戦したロサンゼルス・ギャラクシーは、元スウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチの2ゴールで勝利を収めたが、その背中には異様な文字列があった。

イブラヒモビッチの正しいスペルは「IBRAHIMOVIC」だが、その背中に刻まれた文字列は「IRBAHIMOVIC」となっていた。“イルバヒモビッチ”と読めるが、実際の呼び名とは異なる名前となっており、衝撃のスペルミスはSNSで世界中に拡散されている。

(Football ZONE web編集部)

イ、イルバヒモビッチ?……プ、プ、プヒヒヒヒヒヒ!

おっと、笑い事ではなかった。ユニフォームに刻まれた名はそのクラブに見合うだけの力量を有していることの証明であり、その選手にとっては誇りそのものと言えるものだ。

事もあろうにそのスペルミスの被害者が暴君イブラヒモビッチであったことに周囲は騒然としたことだろうが、そこは私の友人ズラタンだ。ワールド・オブ・クラスの懐の深さを見せてくれた。

「ユニフォームをプレスしたやつは(7月4日の)独立記念日をお祝いしたんだろう。みんなオレのラストネームを知っているし、何も心配することはないね」と、おなじみの“ズラタン節”で寛大な対応を見せた。

(SOCCER KING)

上記のように「プレスしたやつ」に言及し、この一件により彼または彼女が社内でペナルティーを受けず、不問に付されるよう配慮を施していたのだ。

諸君らはたかが名前を間違えただけでそんな大事になるわけがなかろうと安易に考えているだろうが、自身も少年時代にテコンドーを学び、格闘技好きのズラタンは以下の動画における事件が頭をかすめたに違いない。

悲劇を生んだ「トシオカ事件」

そう、「トシオカ事件」だ。

当時、日本ボクシング界のホープだった後の名王者、西岡利晃(にしおか・としあき)が、WBC王者ウィラポンとのリマッチに向けた前哨戦の舞台で、リング・オブ・アナウンサーをしていた元日本テレビアナウンサーの船越雅史氏がトシアキ・ニシオカと言うべきところを「トシオカー! ニシオカー!」と絶叫し、名前に苗字をブレンドしてしまったあの事件だ。

この事件の後に西岡は3度世界挑戦をするがいずれも失敗、挙句にはアキレス腱を断絶するなど、その才能に比すれば世界王者になるまでにあまりにも時間を要したことで「トシオカの呪い」とも呼ばれ、それを発した張本人である船越氏に至っては社内で左遷の憂き目に遭い、その後に日本テレビを去る遠因ともなった。

名前とは単に人を識別するだけの呼称だと思いがちだが、実はそこに見えざる命が宿っているのだ。それを重く理解していたズラタンの「プレスしたやつ」への気遣いは、1人の下級市民の生活を救ったと言えるだろう。

 

<編集者より>事実関係と致しまして、船越氏の左遷は社内でのセクハラが原因とされています。

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