「助っ人」という位置づけの外国人選手
チャンピオンズ・オブ・リーグ(CL)で南野拓実と奥川雅也が所属するザルツブルクが、伊東純也のゲンクを6―2と粉砕し、世界が注目した日本人対決はくっきりと明暗が分かれてしまった。3アシストを記録した南野に対し、伊東は前半のみの交代で、ハイレベルな欧州の舞台で苦い教訓を味わうことになった。
ベルギー『ニュースブラット』は伊東に対して10点満点で「4」と低採点。「あまりにもわずかなものしかもたらさず、間違った選択をすることが多かった」と評している。
『HLN』ではチーム最低タイの採点「3」とさらに厳しい。「20分で下げられてもおかしくなかった。むしろそうするべきだったかもしれない。ベテランの(アンドレアス・)ウルマーに抑えられた。あまりにも軽すぎた」と寸評を記した。
(フットボールチャンネル編集部)
「20分で下げられてもおかしくなかった」とは屈辱的な書かれようだが、外国人選手ならば当地の選手よりも批判のトーンが上がることは致し方ない。なぜなら「助っ人」だからだ。
戦力強化のため少なからぬ移籍金を払って外国クラブから獲得したはずが、その戦力の一翼になれないとなればサポーターやメディアからの風当たりが現地選手よりも強くなることは当然で、Jリーグにいた頃の意識のままではゲンクのレジェンドとなるには困難を極めるだろう。
虎のエースが示した文化への敬意
優良助っ人と言われる選手たちを眺めてみれば、クラブのフッボル哲学や戦術を深く吸収していることはもちろんのこと、それ以上に彼らから感じることは現地の文化や人々に対するリスペクトだ。その街の風土や人々の気質への理解は、クラブへの忠誠を容易にし、自身のモチベーションへとも繋がっていく。
そのような観点から私は伊東に、是非参考にしてもらいたい選手がいる。それはつい先日引退を表明し、長年虎(阪神)のエースとして君臨してきた、ランディ・メッセンジャー投手だ。
ランディは引退会見で日本で成功した秘訣はと問われ、「日本に来た初日から自分の心を開いて、新しい国で新しい文化を経験しながら、受け止めていく気持ち」と答えている。その証拠に彼は来日後、大の愛麺家となり、「ラーメンこそが自分のピッチングを支えている」と豪語しているくらいなのだ。
その効果もあって稼働10年で6度の開幕投手、通算98勝を挙げ、その眩いばかりの功績は虎党だけではなく、既に日本ベース・オブ・ボール界においてはレジェンド・オブ・助っ人と広く認知されている。
ご当地食のワッフルを食せ!
そして、このレジェンド級優良助っ人のランディの姿勢に伊東も見習うべきだろう。ランディは現地の文化、とりわけ食に重きを置くことが重要だと示唆してくれている。ベルギーと言えば、そう、ワッフルだ。
伊東よ、ゲンクで成功を掴み4大リーグへのさらなる飛躍を求めるならば、朝昼晩とひたすらワッフルを食すことだ。現地の人々から「ワッフル・イトー」と称されて初めて、レジェンドへの道が開かれることになるだろう。