ロッベンと同じ足跡
ある古くからの友人に日本代表の堂安律について「どーなん?」と尋ねられたので、「りつぱ(立派)」な選手だと答えておいた、フフフ。最近の代表の試合などを見ていると、周囲の期待ほどには伸びしろがなかったという重大な疑惑が出てしまったが、それでもまだ日本の有望株であることに変わりはなく、本人も自己の能力を信じ、新たなステップに踏み出そうとしている。
オランダ1部リーグのPSVアイントホーフェンは27日(日本時間28日)、日本代表MF堂安律(21)を同1部のフローニンゲンから獲得することで合意したと発表した。移籍金は750万ユーロ(約8億8000万円)とみられる。メディカルチェックなどを経て正式契約を結ぶ見込み。来年の東京五輪のエース候補は、9月の日本代表招集の期待も高まる。
(サンケイスポーツ)
フローニンゲンからPSV・オブ・アイントホーフェンへの移籍は、オランダのかのレジェンド、アリエン・ロッベンを想起させる。
地元のフローニンゲンからキャリアをスタートさせたロッベンは、その快足ドリブルとシュート精度を武器に、PSVからチェルシー、レアル・マドリード、バイエルンという名立たるビッグ・オブ・クラブに羽ばたいて行った。
ブラウンヘアーを強行した意味
そしてそのロッベンの足跡を、同じく右サイドを主戦場とする堂安は意識的に辿ろうとしている。これは何も推測ではなく、私は既に堂安の振る舞いからそれが事実であることをほぼ突き止めている。
その証拠として堂安がPSVを名指しに移籍の懇願をしていたこと。そしてこれが一番の証しなのだが、彼が今維持しているあの髪の色だ。顔の造形から言えばとても似つかわしくないブラウンヘアーなのだが、なぜか彼はそれを採用している。この謎を解くことができれば、自ずとロッベンに対する彼の憧憬が姿を現す。
髪を染めるという行為、それはすなわち頭皮に少なからぬダメージを与えることを意味している。しかし彼はあえてそれを行った。つまり、進んで自分の頭皮に負荷をかけたのだ。ではなぜ? 簡単だ。ルックスの面でもロッベンのようになりたいからだ。
自然美に魅せられる
ロッベンのトレード・オブ・マークと言えば、あのパチンコ玉のようなきれいな頭頂部である。サイドにやや青さが残るものの、中央はスケートリンクのように摩擦がない。あの味はただ剃ってスキンヘッドにするだけでは決して醸成することはできず、毛根を消滅させてこそ完成する自然美なのだ。
おそらく堂安もその美に魅せられた。そして自分もそこに近づくためにはと考えた時に、ヘアカラーという手軽な手段が思いついたのだろう。
しかし堂安よ、早まるな。一度失った毛根はもう元には戻らないのだ。友人や恋人や家族よりも、毛根こそが何よりのトレジャーであったことに気付く日が必ずや来るのだ。この道を先に歩む者として忠告しておく。