日本人CB初のセリエA挑戦
ボンジョールノ、諸君。
シントトロイデンに所属する日本代表DF冨安健洋のボローニャ移籍がようやく合意に至ったようだ。
シントトロイデン側が移籍金に駄々をこねて交渉が難航しているという話もあったが、どうやらメディアお得意のフェイク・オブ・ニュースだったらしく、無事に交渉がまとまって気を揉んでいた私も今日からぐっすりと寝られそうだ。
日本人のCBがイタリアの地を踏むのはこれが初で、おそらく周囲はその先駆者として富安の成功を願っていることだろうが、無論セリエ・オブ・Aは新参者がそう容易く活躍できるほど生半可なリーグではない故、彼の成長を長い目で見守ってあげることが肝要となる。
何と言ってもオブ・Aは4大リーグきってのヘイト・オブ・リーグで、有色人種に対する風当たりが強いことで有名だ。相手チームはおろか、自チームに選手にすらヘイト・オブ・チャントをかますその道徳心は、UEFAヘイト・オブ・ランキングでぶっちぎりのトップを走っている。
そこで私は移籍祝いとして冨安にその人種差別を受け流す術をここに授けたいと思う。今私は授けると言ったが、正確にはその振る舞いを参考にしてほしい選手を紹介するという形になる。その選手とはウルグアイ代表のスアレスだ。
悪評をも恐れない勇敢なマリーシア
そして私が富安に見習って欲しいと思うのが、スアレスが現在奮戦中であるコパ・アメリカのチリ戦で見せた以下の振る舞いである。
警備員の追走をかわしてピッチを横断する乱入者をハーフウェーライン付近で、チリのベテランCBゴンサロ・ハラが、足を引っ掛けて食い止める。これを見たウルグアイのルイス・スアレスが“噛みついた”のだ。
スアレスは、瞬間的な速さで主審の下へと詰め寄り、ハラを退場にすべきだというようなジェスチャーを交えて猛抗議をしたのだ。これに他の選手たちも続き、試合は異様なムードとなった。
確かに南米サッカー連盟の規約には「選手やその場にいた人に暴行を加えた場合には出場停止処分が下される」という条文があるそうだが、このハラの行為は観客による迷惑行為に対する制止の一助であり、しかもただ足をかけただけの至極穏便なものだ。
しかしそこに卑劣なまでの難癖を施してハラに暴行の濡れ衣を着せ、相手チームに打撃を与えようとするこのスアレスのマリーシアは、自身に対する悪評をも恐れないフォア・オブ・ザ・チームの勇敢な振る舞いと言えよう。
相手エースを冤罪の標的にせよ
是非とも冨安にはこのスアレスの恥知らずなメンタルと抜け目のないマリーシアを習得してもらいたい。仮にユベントス戦で観客席から人種差別的なチャントが聞こえてきたならば、「あのひどいチャントをしている観客はクリスティアーノ・ロナウドのユニフォームを着ている。故にロナウドを退場にすべきだ」と濡れ衣マリーシアで主審に強くアピールし、退場には追い込めなくとも相手エースに動揺を与えることでプレーの質を落とすことができるかと思う。
そうすれば馬鹿な観客らでも差別チャントが自分たちの首を絞めていることに気づき、次第にヘイトも収束して憎悪なき社会がイタリアに地に訪れることだろう。私は富安がそのような平和の使者になることを願って止まないのだ。