サッカー界に蔓延する心身の弱体化
しかしフッボル選手とはなぜにこうも心身ともにひ弱なのか。
トッテナムに所属する韓国代表FWソン・フンミンが、右前腕の骨折により21日に手術を受けるようだ。韓国メディア『Yonhap News Agency』が20日に報じている。
ソンは16日に行われたプレミアリーグ第26節・アストンヴィラ戦で負傷してしまった。同メディアによれば、今週中にも母国である韓国に帰国しており、ソウルにある病院に入院し、21日に手術を受けるようだ。
(SOCCER KING)
主に足を使用する競技なのに手を骨折しただけですぐに雲隠れするとは、昨今のフッボル界の堕落を否が応でも感じさせてくれる。昨年のラグビーワールドカップでは日本代表の中島イシレリが肋骨を骨折しながらもプレーを続けたように、他競技であれば骨折の一つや二つしたところで職場を放棄する輩はいない。
ソン・フンミンをはじめ現代に生きる全てのフッボル選手に言えることだが、プロフェッショナリズムが明らかに低下している。少なくともサラリーを頂戴している身であるからには、ファンや子供たちの視線に堪え得るよう心身の強化に努めるべきだ。
そこでその強化の参考となるであろう、真のプロフェッショナリズムを体現した選手を私は彼らに紹介したいと思う。もちろんそれは全スポーツの頂点に君臨する野球界の選手であることは言うまでもなく、その名は金本知憲と言う。
伝説の“丹下左膳事件”から読み取るメンタリティー
栄光の元阪神タイガースの4番打者で、1492連続試合フルイニング出場と13686連続イニング出場の世界記録を保持する鉄人と呼ばれたレジェンド・オブ・レジェンドだ。そしてその鉄人ぶりを示す象徴的なエピソードが、2004年に起きたあの“丹下左膳事件”だ。
夏も盛りの7月29日の中日戦でアニキ金本は左手首に死球を受け、その場にうずくまってしまう。鉄人が苦悶する姿に傍から見ていたファンたちもすぐに事の重大さを認識する。診断結果は左手首軟骨剥離骨折。しかしこの時点では本人やチームドクターも骨折には気づかず、異様な痛みがある中、翌日の巨人戦にも強行出場し、右手だけで2安打を放ち、勝利に貢献してしまう。片手だけで大役を果たしたその姿に某スポーツ紙は隻手の剣士、丹下左膳になぞらえ1面を使って称賛した。
野球は主に手を扱うスポーツであるにも拘わらず、その手を骨折してまでも試合に出続ける、このプロフェッショナリズム。このような凄まじいプロフェッショナリズムに彼を駆らしめたものは、もちろん虎戦士であることへの誇り、すなわち猛虎魂だ。この猛虎魂こそが今のフッボル界に最も欠如しているものなのだ。
猛虎魂は何もスポーツという狭い業界に留まらず、今や政界やビジネス、受験生にとっても必須なメンタリティーとなっている。諸君らの中でもまだ猛虎魂を持っていないという者がいたら、マスクよりも先にそちらの入手を私は勧めたい。