昭和、平成、令和と3代にわたり現役プレーヤーとして走り続けてきたキング・オブ・カズこと三浦知良について、所属する横浜FCは11日、53歳となる今季も契約を更新すると発表した。
これでようやく世のJリーガーたちは心置きなくカズに胸を借りられると安心したことだろうが、私に関してはこのプレス・オブ・リリースには安堵や喜びよりも先に怒りが湧いてきたというのが正直なところだ。
サッカー・J1昇格を果たした横浜Cは11日、元日本代表FWの三浦知良(52)と新シーズンの契約を更新したと発表した。背番号11にちなみ、クラブが公式サイトで発表したのは恒例の「11日午前11時11分」だった。
(読売新聞)
カズのアイコンである背番号「11」に掛けて「11日午前11時11分」に契約更新を発表するという仕掛けは実に洒落ていて、いい発想だとは思う。もちろんそのアイデア自体に私も異議を申し立てるつもりは毛頭ない。少なからずそこにはクラブのカズに対する敬意を感じるからだ。
ただ敬意があるならば、なぜ分単位までで発表の時刻を妥協してしまったのか。そこに大きな不満と疑問が残る。
今は市販のストップ・オブ・ウォッチでも1/1000秒すら容易に計測できる時代だ。そんな時代にあってコンマ秒数はおろか秒数すらも発表時刻から切ってしまうとは、横浜FCが示したカズへの敬意は心の通わない事務的なものと受け止めざるを得ない。
真にカズへの敬意があるならば、せめて1/100秒までを計測する陸上競技100mと同程度の「11日午前11時11分11秒11」にプレス・オブ・リリースをしていたはずだ。数字が細かければ細かいほどより心を尽くしているという証明で、それはつまりカズへのリスペクト指数とも換算できるのだ。
今回の一件はカズを純粋な戦力としてではなく、客寄せパンダとしてしか見ていない横浜FCの卑しいスタンスを白日の下に晒してしまったと言えるだろう。