地元メディアも絶賛
ボンジョールノ、諸君。
日本代表は今朝、コパ・アメリカの初陣となるチリ戦を迎えたが、そのゲーム内容は以下の地元ブラジル・メディアのレアル久保建英評に集約されると言ってもいいだろう。
「クボは随所で光り輝いてみせ、評判通りの巨大な才能を覗かせた」「ドリブルとキックで非凡な才を示した。今大会でニュースターになる可能性を秘める」
(『Globo』電子版)
つまりはレアル久保の独壇場だった。
まずは前半6分の右サイド深くからのFK。レアル久保の蹴ったボールはやや高さの調整には乱れたものの、そのコースと曲がり、威力は申し分なく、チリ代表の肝胆を寒からしめるには十分過ぎるほどの挨拶だった。
見せつけたレアルにふさわしい価値
続けて11分。左サイドでボール受けたレアル久保は、すぐさま寄せてきたプルガニの股を足首の切り替えしのみで抜いて置き去りにし、そのまま攻め上がってゴール前に走りこむ上田に上質なグラウンダーを供給。しかし惜しくもボールはマリンの長い脚に阻まれたが、このワンプレーだけでもレアル久保が世界中のビッグ・オブ・クラブから三顧の礼で招聘を受けた理由が理解できる。
極め付きは後半20分だ。CKからの跳ね返りを収めた日本は左サイドのレアル久保へとボールを繋ぐ。レアル久保は中山に一旦ボールを預け、そのリターンからのトラップでビダルの射程距離を外し、ツータッチ目で縦へ切り替えしてペナルティー・オブ・エリアに侵入。そこから渾身の左足をニアに蹴り込むも、ボールはサイドネットを強烈に叩いた。ゴールには至らなかったとは言え、世界に衝撃を与えてさらにお釣りが来るほどの見事なフェイク・オブ・ゴラッソだった。
私自身はそんなレアル久保の個人スキルを眺めるだけでもお腹が一杯だったのだが、他の選手らの健闘も実に目を見張るものがあった。
再三の逸機も上田は化ける可能性が
GKながら10代での代表デビューという快挙を果たした大迫は強烈な相手のプレスを冷静な切り替えしで剥がし、植田と富安のCBコンビは若いながらも安定感を見せていた。
中島も定評のあるその個を存分に発揮しては、キャプテンの柴崎は落ち着きと幾度ものチャンスを創出。前線の上田は再三の決定機を逃したとは言え、その決定機は彼のポジショニングとランがもたらしたもので糾弾されるには値しない。むしろ今後の努力で決定力さえ備われば、「これは化けるぞ」という思いにも駆られるほどだった。
常にチリに脅威を与え続けた彼らの躍動は東京五輪に向けて大変に実りが多く、勝利に値するパフォーマンスであったと私は満足している。
これで次戦のウルグアイ戦は決勝トーナメントに伸るか反るかの大一番となった。このチリ戦のように老練なウルグアイを翻弄する若きサムライの雄姿が再び見られることを私は心から期待している。
なお、試合はチリが4―0で日本を下した。