メディアの的を得ない分析
ボンジョールノ、諸君。
久保建英のレアル・マドリードへの移籍が正式に発表されて以来、本命と思われていたバルセロナをなぜレアルが大外から豪脚で差し切って日本の至宝を射止めることができたのかと数多のメディアが様々な分析を出してはいるが、私からすればどれも的を得ない浅薄なものと言わざるを得ない。
私も当然この禁断かつ逆転の移籍劇には興味をそそられた一人で、高マニア・オブ・ビューラーの責務もありフル回転でオブ・ビューを作動させて事の顛末に迫ってみたところ、低劣なメディアが辿り着くことができなかったある真実に突き当たることができた。
2001年に起きたサッカー界の大事件
諸君らは2001年に起きたフッボル界の大事件を覚えているだろうか?
令和生まれのキッズらは無論記憶にあるはずもないだろうが、それはレジェンド・オブ・漫画『キャプテン翼』の主人公である大空翼のバルサ入団だ。
デル・オブ・ピエロ、アンリ、ジダン、イニエスタ、エジル、メッシなど、数えれば切りがないほど世界中のワールド・オブ・クラスの選手らに影響を与えてきたその翼のバルサ移籍に、どのクラブよりも大きな衝撃と深刻さでもって受け止めたのが宿敵のレアルだった。
レアルは2000~01年にリーガ、翌シーズンにはビッグ・オブ・イヤーをも獲得して低迷するバルサに名実とも大きく水をあけていただけに、ペレス会長は作者の高橋陽一氏と版元の集英社に「なぜうちに入れてくれなかったんだ」と厳正な抗議を申し入れ、翼を招聘できなかったクラブのスカウトらに激しく雷を落としたことは広く世の語り草となっている。
晩節を汚し続ける高橋氏
そのような18年前の失態を鑑み、レアルの首脳部は大空翼のリアル版と言われる久保が欧州に帰還するという報に接して今度こそは極東のモンスターを取り逃がしてはならぬと、所属していたバルサよりも激しい熱量で久保にラブ・オブ・コールを送ったことは想像に難くない。
奇しくも翼がバルサ入りした18年前の2001年に久保はこの世に生を受けているのだ。何たる因果であろう。
神の悪戯を思わせる今回の久保争奪クラシコはレアルのリベンジで幕を閉じることになったが、それにしても高橋氏はいつまでキャプテン翼の続編をだらだらと続けては晩節を汚すつもりなのだろうか。
フランス国際Jr.ユース編で止めておくべきだったという思いを、どうしても私は禁じ得ないのである。