ゆでたまご先生が先にブラックホールを撮影していた?
ボンジョールノ、諸君。
フッボルにしかアンテナが立っていない諸君らに時事ニュースを伝えてやると、宇宙の国際研究グループがブラック・オブ・ホールの撮影に初めて成功したらしい。私もその画像を興味深く拝見させてもらったが、『キン肉マン』に出てくる悪魔超人のブラックホールのキャラ造形はあながち間違ってはいなかったようだ。
しかし見方を変えれば、作者のゆでたまご先生がこの国際研究グループよりも先に撮影に成功していたという可能性もあるので、私のプロファイリング・ラボの都市伝説研究チームに調査するよう指示を出しておいた。その調査結果をしばし待ちたいと思う。
岡崎慎司を上回る利き頭
そんなことよりだ、クリスティアーノ・ロナウドが大舞台で復活を遂げた。
チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1st・オブ・legのアヤックス―レアル・マドリード戦で、C・ロナウドが前半の終了間際、ゴール前にできたスペースに猛然と駆け込み、カンセロのクロスを躍動感あふれるダイビング・オブ・ヘッドでゴールに突き刺し、EURO予選のセルビア戦で痛めた右太腿部の懸念を払拭した。
試合はその後ホームのアヤックスが意地を見せて1―1のドロー決着となったが、C・ロナウドの岡崎慎司以上の利き足ならぬ利き頭は終始アヤックスの脅威となっていた。
聞くところによればC・ロナウドの跳躍は平均78㎝で、これはバスケット・オブ・ボールの選手の平均値を7㎝も上回るものだと言う。身長186㎝の彼がゴール前でそのような跳躍を行えば、対峙するDFにとっては悪夢以外の何ものでもない。
そんなC・ロナウドのことをフッボル史上最高のエアバトラーに挙げる論者もいるそうだが、諸君らの意見はどうだろうか? いやペレだ。ウーヴェ・ゼーラーだ。ビアホフだ。サモラーノだ。クローゼだ。そんな喧々諤々の議論が巻き起こるかもしれない。
しかし私が思い浮かべる最高のヘディング選手と言えば、令和生まれのキッズら(まだ改元してません)には馴染みがないかもしれないが、1980年代に活躍したあの日本人選手の一択となる。
名将が讃嘆する完璧なヘディング
その名はマサル・ウーノ(宇野勝)。彼の偉大さは言葉にするよりも、百聞は一見に如かずということで見てもらった方が早い。
いつ見ても新鮮で腹筋の限界値が試される破壊力抜群の映像だ。このワンプレーだけでWikipediaの記事が作成されるほどのインパクトがあり、当時スタジアムにいた観衆はその珍事に目を疑い、真夏の世の夢と錯覚した。
落下地点に入るまでのふらふらとした足取りから、頭によって弾かれたボールの角度とスピード、そしてその瞬間に痛みから頭を両手で抱える仕草まで、一連の挙動は喜劇としての綻びが見られない完璧なアクトとなっている。
相手の巨人がこの試合まで連続試合得点記録を158試合と伸ばしている中、その記録を止めるべくマウンドに立ち、この瞬間まで巨人のスコアボードに0を並べ奮闘していたのが闘将・星野仙一だったというところにも緊張からのカタルシスが生まれ、その味わいに深さを与えている。
このプレーはかの人気番組『プロ野球珍プレー・好プレー大賞』が誕生するきっかけともなったが、後にも先にもたった一つのプレーでアワードが設けられたなどという話を私は聞いたことがない。そのようなことも含め、私は宇野にヘディング選手としての最大限の偉大さを見出すのである。